河童
江津良と瀬戸とは四町ばかり、路は谷の間となっている。瀬戸の農家の若者が江津良へ夜遊びにゆき、更けて帰る途の谷間で、年12、3くらいの童が現われ、角力をとろうと頻りにいう。
うつかり承知して取組んだが、若者は力が強かったので、童を押しつけて圧しまくると、童はヒラリとかわして逃げ去った。
若者はボウとしてクタクタになり、辛つと家へ帰ったが、人々は相手は河童だろうというた。(蓬窓夜話)