江津良の地蔵堂の横に武田精心之碑がある。

 方向地蔵                     Photo/2005-10-19

 江津良の地蔵堂の堂内には、往時からの地蔵さんが安置されている。像高33cmの一木造りの地蔵さんは、虫食いのため当初のお姿をしのぶことはできないが、木箱の小堂底部には「寛延三(1751)年十月二十八日、本覚寺眼誉造之、江津良、十二間」 と墨書されている。眼誉上人は本覚寺五代目の住職で自作の地蔵菩薩として貴重な遺品でもある。

 昔、この地蔵を盗んだ者が、下山(桃の木峠付近)まで行ったところで突然倒れてしまった。これはきっと地蔵さんが江津良の地を離れ、他所に行くのをいやがったからであろうとの話も語り継がれている。また堂内には、地蔵を彫刻した版木も祭られている。縦14cm、幅6cm、厚さ4cmの地蔵版木には、蓮台に立ちお顔には慈悲深い微笑を浮かべ、合掌した背には円光背が彫刻されている。

 この版木も虫食いにより内部までかなり被害にあっているものの原形をとどめている。紀年銘はないもののここの版木も眼誉上人の手によるものではないかと思われる。毎月二十三日に地蔵講の人々により念仏が唱えられ、八月二十三日の地蔵祭りは盛大である。