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 藍藻綱ネンジュモ目ユレモ科
  Trichodesmium Erythraeum EHRENBURG

 トリコームはまっすぐで、互いに平行に並んで筏状の群体を作る(図A,B)。群体の大きさは1mmまでで、生時は黄白色であるが、固定または乾燥すると灰緑色または暗緑色になる。トリコームの長さは1mmまでで、その節部で縊れることがない。トリコームは端部でわずかに細くなるか、そうでないものもある。トリコームの中部の直径は7〜12マイクロメートル、まれに21マイクロメートルまで太いものもある。細胞の長さはその直径とほぼ同じか、その1/3までで、5.4〜11.0マイクロメートルである。細胞内に大きい顆粒を持つことがある。端部細胞は圧迫された半円形、円錐状または凸状で、頂冠(カリプトラ)を持つ(図C)。

 本種のブルーム時の群体は10〜30〜(50)本、普通10〜20本のトリコームよりできている。ブルームを過ぎると、多くの群体は壊れ、あるものはばらばらのトリコームになる。本種の赤潮の海面は黄白色に見えるが、ブルームを過ぎると、そこの海水が紅色に染まることがある。これは、この藻体の枯死によって藍藻の紅色色素フィコエリトリンが細胞外に溶出したためである。

 本種のトリコームはまっすぐで短く、60〜750マイクロメートル、普通250〜500マイクロメートルである(永沢・丸茂、1967)。生時のトリコームの節部は縊れることなく(図C)、縊れてもわずかである。GOMONT(1892)が”トリコームの節部は縊れる”と記載しているのは、おそらく?葉標本によったためであろう。
 本種は紅海、インド洋、太平洋、オーストラリア、大西洋などの熱帯および亜熱帯海に分布する。西大西洋ではフィリピン東部に出現して台湾、東シナ海、九州南岸に達し、ここから本州太平洋岸に沿って紀州沖から伊豆半島沖までの全黒潮流中に生育する。また、九州南岸から対馬暖流に乗って九州西岸沖から北岸沖まで分布する。九州西部の壱岐水道西部海域、平戸島、生月島近海で赤潮をつくることもある。


 町の報告書
 (口頭内容)
 10時ごろ白良浜のT型突堤の背後に何か濁っているものが浮遊しているとの情報があった。(試料採取し建設課へ)

 (現地状況確認)
 白良浜について、T型突堤背後の箇所へ、建設課瀬見、観光課広畑が現地で確認。

 (試料を採取)
 別紙状況写真を参照。

 (振興局河港課との協議結果)
河港課へ試料を持参すれば、県で調べるとのこと。持参する。
串本の水産試験場で調べてもらうとのことであったので、これからの事もあり随行する。

 ・和歌山県農林水産課水産総合技術センター
 水産試験場 副場長 竹内照文に調査していただいたところ、海水を見て、すぐにプランクトンであると教えてもらった。顕微鏡で確認した後に本に出ている箇所を見せていただいた。

 本に出ている写真、Bと同じであることを、河港課川尻氏、町瀬見が確認した。
この本にも書いている様に、このプランクトン(赤潮生物)は、本州太平洋岸に沿って紀州沖から伊豆半島沖までの全黒潮海流中に生育するプランクトンであること。
気にする必要はないとのコメントをいただいたが、それはどうしてか。
外洋で発生すること。

どんな状況でここへ流れ着いたかわからないが、たまたまとしか言えない。
海流がよどんだことにより、発生したものではない。
今まで発生していなかったのにどうしてかとのことだが、和歌山県の沿岸にはあるもので、今までもあった。このプランクトンは、夏から秋にかけて発生するものであるとのこと。
以上、報告します。

 ◆ 瀬戸の住民の調査研究結果

 http://contest2002.thinkquest.jp/tqj2002/50299/sea0.html

 『植物プランクトンは海水に溶け込んでいる栄養素(リン・窒素など)を吸収し、光合成によって自身の栄養に変える。植物プランクトンが死ぬと海底に沈み、バクテリアの働きによって再びリンや窒素に分解される。つまり、植物プランクトンは上層の栄養素を海底に運んでいることになり、これを「生物ポンプ」と呼ぶ。
 ところが、このままの状態だと上層部の栄養が不足して、植物プランクトンは増殖しない。これを「栄養塩制限」と呼ぶ。反対に海底では光エネルギーが不足するが、これを「光制限」と呼ぶ。
 海には透明度の高い所と低い所があるが、なんらかの原因で上層と下層で海水の交換が起こりにくくなると、上層では栄養塩制限によってプランクトンが増殖しにくくなり、透明度が上がる。』

 ◆◆◆瀬戸の住民の私見◆◆◆
 白良浜のような浅海の閉鎖水域では栄養塩制限も光制限も起こらないため、一度植物プランクトンが増殖すると、水温が適正である限り繰り返し上記のサイクルが回り続けるのではないだろうか?
 下水道の沖出しを実施したとしても、T型堤防と潜提に囲まれた閉鎖水域の中でこのサイクルが回り続ける可能性もある。

                                                                      :掲載/2007-09-27   追加/2007-10-01