不寝王子(ねずおうじ) Photo/2005-03-23
滝尻王子からすぐわきにそびえる剣ノ山に登って行くのが御幸道で、平安時代の藤原宗忠の日記でも、滝尻王子に奉幣してから滝上坂をよじのぼったと記している。この坂を
登る途中、左手の方へ入ったところに秀衡伝説で有名な乳岩があり、その少し上手に不寝王子の跡だとされている場所がある。
元禄2(1689)年に成った紀南郷導記には、秀衡の窟の側にネジ(不寝)王子という小社の跡があって、白砂など残っているが、廃れてしまって、ここに王子があったということを知る人がないと述べ、また紀伊続風土記では、滝尻王子から一町ばかり上の礎石のある所が不寝王子の跡だと伝えられるとし、今は滝尻王子に合祀されていると記している。
この王子は古い記録には見えておらず、したがって九十九王子のうちに数えられることもない。滝尻王子から僅か100m余のところに、どうして王子の小社があったのかわからない。 |