夢のはまゆう         作詞 垂水光瑤(昭和12年:注現在文に修正した) 作曲・歌 寺前晃

 潮の香りに 花茎われて

 なぎさもやひの 帆がぬれる

  明けりや千鳥の 行方も知れず

    涙ほのぐむ 夢の花


 潮の香りに 花茎われて

 なぎさもやひの 帆がぬれる

  明けりや千鳥の 行方も知れず

    涙ほのぐむ 夢の花


 磯の磐根に いでゆをくんで

 恋の黒髪 梳ながら

   姿うつして 渚になげく

   浦の浜ゆう 夢の花

 露の干ぬ身に 入日も暮れりや

 乙女こころの やるせなさ

  束ね黒髪 瞼を閉ぢて

   じっと横顔 夢の花


 濡睫毛に 泪をためて

 藻塩の月に忍びなく

  白良の浜の 浜ゆう見れば

  白い素顔の 夢の花