安宅一乱記より抜粋して当時の陸路調べ

巻之一目録 正月十七日戦之事

 大永六(1526)年より享禄三(1530)年まで一家中無事に出勤したりけれが(略)、 田井九助(富田庄川口城預り)、(略)。

 (略)、周参見へ落、夫より三山へ向趣給ふ、(略)、川登りに三山へ、(略)、田辺へ、(略)、敵の馬奪い取、打乗て周参見へ越へ、三山へ落行く処、

 (略)。

巻之一目録 和田・中嶋・知原附り奥方三山落之事

 (略)、然るに十七日の戦ひの後、御台、若君は(略)、その夜江住迄落延び同所へ泊り、翌朝未明に早船にて串元に着、三山へ参拝の人々の姿にやつし、夫○古座・田原・浦上・太地より船に乗り、天満へ着けれハ、  (略)。

巻之一目録 霜月四日軍之事次部大輔自害之事

 (略)、田辺山本主善(富田ノ地頭)、(略)、富田より責入よし、(略)日置の浜ニ渡って陣を取、八幡山より田辺勢を防の為に、(略)、百六拾騎富田坂へ向ふ、(略)。

巻之一目録 安宅大炊卿之奥方三山に通夜之事

 (略)、十月廿日に本宮坂本宅に趣、御橋の元に廿七日迄通夜し、(略) 廿七日の夜、宮山の烏数百羽悦の声を告て西に飛行、夫より那知に帰りて滝の元に七夜籠せ給ふに、梛(なぎ)の葉数多流れ来て、空へ飛行かと夢の様に覚けり、(略)、安宅より飛脚到来し、一昨日の戦ひに味方打勝、(略)。

巻之三目録 土井が城洛城之事

 (略)、霜月富田郷を越、(略)、袋の湊より勝山に廻し、(略)、人々皆田野 井帰て、(略)。

巻之三目録 安居軍之事

 (略)、土井が城にて討残されたる者共、(略)、安居へ落行、富田へ越んとせし処、(略)。

巻之四目録 小松花笑が事附り熊谷峠怨霊之事

 (略)、田野井に帰て、(略)、大間川を越、立ち帰んと熊谷峠へ越にけり、更ケ行迄戦ひしが、(略)。

巻之六目録 林市之助が事

 (略)、名草郡に居たりけるが、安宅へ帰らんとて田辺迄来りけるか、(略)

 江川村へ打て出、朝来迄退キしが、(略)、一ノ瀬へ退んとせし処、(略)、

 安宅の城に着けにけり、

巻之六目録 新宮勢押寄る事

 (略)、陸の戦ひハ長恵坂の難所(略)逃退キ、江住浦で小船に取乗、(略)。

巻之六目録 朝来軍之事 

 (略)、田辺を攻めんと二百余人、糠塚と言う所に居たりけるが、(略)、四百余騎二手に成りて新庄に押寄たり、(略)、日高へ遁、(略)、一野瀬の城へ引んとす、(略)、はや城に入て責出けれハ、生馬谷へ退キしに、(略)、安宅の本城に引取り、(略)。

巻之九目録  藤井延助が事

 (略)、同廿七日富田坂の難所にて、山賊の大勢に取込られ討れり、(略)。

巻之 九目録 小山海賊退治之事